エクスペリメンタル・テレフォンセックス

エクスペリメンタル・テレフォンセックス

以前、当ブログでは「セックス抜きのテレフォンセックス」というやや倒錯したテレフォンセックスのヴィジョンを提示させていただきました。

テレフォンセックスは爆音でささやく
テレフォンセックスとは何か、というと、「声」のみを用いて「性的興奮」を高めることというのが、プレイの「一応の定義」です。ここで、テレフォンセックスという言葉に「セックス」という単語が含まれていることが影響し、やはりテレフォンセックスというものには「性的な会話」が不可欠なのだろうとどうしても自然に考えてしまいそうになります。

この記事では、「テレフォンセックスからセックスを引き算してもテレフォンセックスは可能である」という仮定を出発点にして、「テレフォンセックス」を成立させている前提を改めて根本的に洗い直して疑いながら吟味してみよう、というひそかな目的がありました。

「セックス抜きのテレフォンセックス」という矛盾に満ちた問題を設定してみることによって、「テレフォンセックス」をギリギリの部分で成立させる条件のようなものを抽出することがわずかにできたように思うのですが、その結果として、「実験テレフォンセックス」という新たな視野が開かれることにもなりました。

ですから、次はやはり「テレフォン抜きのテレフォンセックス」という「実験テレフォンセックス」について考えていかなければならないのではないか、と思います。

「テレフォンセックスからテレフォンを抜いてしまったら、それはもうセックスでしかないじゃないか!」という憤りの声が、セックス抜きのテレフォンセックスのとき以上の大声で出るのは当然かと思います。

しかし、それでも、「私はテレフォンセックスからテレフォンを抜いたとしても、テレフォンセックスは可能である」という立場をとってみたいと考えております。

テレフォンセックスという特異なプレイを成立させている諸条件としては、「声」と「言葉」のみによるコミュニケーションであること、「それぞれの身体が不可視である」ということ、などがまずは挙げられるでしょう。

従来のテレフォンセックスの考え方では、当然ながら、ここに「受話器越しのやりとり」も加えなければならず、「電話」というものが、テレフォンセックスを成立させる条件として必要不可欠なものとして信じ切られてきました。

今回の思考実験では、「テレフォンセックス」を成立させるための条件として、おそらくこれまで一度も疑われたことがないであろう、この「電話」という条件を疑って、いちど排除してみることにしました。

「不可視の身体同士が、距離を隔てて『声』と『言葉』のみでお互いの興奮を高めあう」という条件だけを取り出して「テレフォンセックス」が成立するかどうか、について考えていきますと、「テレフォン抜きのテレフォンセックス」を成立させることはどうやら可能である、ということが少しずつ明らかになってきます。

ゼロ地点に向かうテレフォンセックスから

まずは、「セックス」という行為のなかに、「テレフォンセックス」の方法を導入して、「セックスをテレフォンセックス化する」という道筋が考えられるでしょう。

あるいは、「セックス」どころか電話すらもない時空間に、「テレフォンセックス」という時空間を立ち上げて創造していく、という方法も考えられると思います。

とはいっても、そこで具体的にはどのようなプレイが行われるか、どのようにして「電話抜きのテレフォンセックス」が立ち上がってくるのか、想像がつきにくいというのが実情でしょうから、それぞれ、簡単な例を提示することにしましょう。

前者の場合であれば、即アポをしかけてホテルで合流したテレクラ男女のあいだに「衝立」を設置して、お互いに姿が見えない状態をあえて作り出し、「声」と「言葉」のみで性行為を遂行してみる、というようなプレイスタイルが考えられるでしょう。

後者の場合であれば、それぞれの「声」と「言葉」が録音された卑猥な音源を、テレクラで即アポをしかけてホテルで合流した女性と交換しあい、その場でのセックスはせずに帰宅し、自分自身の音源と相手の音源という「声」と「言葉」の記録を同時再生することで、身体不在の交わり合いであるテレフォンセックス空間を立ち上げ、それを俯瞰するようにして聞きながらオナニーをする、という具合です。

それぞれが、「テレフォンセックス」を成立させる諸条件をギリギリ満たしておりますから、「テレフォンを抜きにしたテレフォンセックス」という実験テレフォンセックスが達成されている、と言ってよいのではないかと思います。

当然ながらこれだけが実験テレフォンセックスなのではありませんし、もっと様々な実験テレフォンセックスの方法が考えられるでしょう。

このような「テレフォン抜きのテレフォンセックス」、実験テレフォンセックスという営みに果たして意味はあるのか、あるいは、実験テレフォンセックスはテレフォンセックスの持つ快楽がないのではないか、という疑問が投げかけられるのは当然かと思います。

ですが、どれほど無意味に感じられることであっても、まだ試されたことがないテレフォンセックスのプレイスタイルを考案し、実験して検証してみることは、その行為自体に意味がありますし、実験テレフォンセックスにおいては、テレフォンセックスを成立させる諸条件を探ることが最大の目的ですから、通常のテレフォンセックスで目的とされるような「快楽」を得る必要はありません。

実験テレフォンセックスによってテレフォンセックスを成立させる諸条件を洗い出したあと、あらためて「電話ありのテレフォンセックス」という通常のテレフォンセックスに戻っていくにあたって、実験以前と比較して、実験以降では、テレフォンセックスという体験が根本的な部分から考え直されていることになります。

実験テレフォンセックス自体は、テレフォンセックスというものをゼロに近づけて解体していくような性質を持っています。

ですが、実験テレフォンセックスを経たあとのノーマルなテレフォンセックスは、テレフォンセックスが持つ可能領域を広げられているのですし、テレフォンセックスのゼロ地点からもう一度テレフォンセックスを立ち上げていくにあたって、より強い快楽を得るための糸口となる方法を見つけ出すことにもなるのではないでしょうか。